ペーパーレス後の書類整理!基本的な方法や失敗例などを紹介

ペーパーレス化を進めたら、机の上はすっきりした。書庫も少し空いた。ところが、必要な書類を探そうとすると、今度はパソコンの中で迷子になる――。そんな経験はありませんか。

紙を電子化しても、デジタルデータが自然に整理されるわけではありません。スキャンしたPDFやメールの添付資料、クラウド上の文書などは、気づかないうちに増えていきます。

ペーパーレス化は、紙を減らす取り組みです。一方、デジタルデータの整理は、必要な情報を必要なときに取り出せるようにする取り組みです。この二つは、実は別物。紙をなくしただけでは、整理はまだ「途中」なのです。

1.ペーパーレス後に書類整理が必要な理由

デジタルデータは、紙のように机の上からあふれたり、書棚を圧迫したりしません。そのため、増え続けても気づきにくく、「まだ大丈夫」と思ってしまいがちです。

しかし、保存場所や分類方法が決まっていなければ、同じデータが複数の場所に保存されたり、どれが最新版なのか分からなくなったりします。

企業やオフィスでデータを共有する場合は、個人の感覚に頼るのではなく、共通のルールが必要です。誰が保存しても、誰が探しても、同じ場所にたどり着ける状態をつくることが、ペーパーレス後の書類整理では欠かせません。

1-1.怠るとどうなる?

整理を怠ると、まず増えるのが「探す時間」です。

「あのファイル、どこでしたっけ?」
「最新版はどれですか?」
「たしかメールで送ってもらったような……」

この会話が増えてきたら、デジタルデータ整理の黄色信号です。1回は数分でも、毎日、複数人が繰り返せば、大きな時間のロスになります。

さらに、古いデータを誤って使用したり、見つからないために同じ書類を作り直したりするリスクもあります。担当者の退職や異動によって、保存場所や管理方法が分からなくなるケースも少なくありません。

ペーパーレス化したはずなのに、「念のため紙でも残しておこう」となれば、紙とデータの二重管理です。効率化するはずが、管理対象を倍にしてしまっては、少々切ない結末です。

ペーパーレス後の書類整理の方法

2-1.デジタルデータの整理の基本

デジタルデータの整理の基本は、「どこに保存するか」「どのように分けるか」「どのような名前を付けるか」の三つです。

まず、保存場所を決めます。共有するデータは共有フォルダ、一時的に使用するものは個人フォルダなど、それぞれの役割を明確にします。保存先が増えすぎると、それだけで迷子の原因になります。

次に、フォルダの分類を整えます。部署別、業務別、顧客別、年度別など、仕事の流れに合った分類にします。分類の目的は、きれいに分けることではありません。必要なデータを迷わず見つけられることです。

そして、ファイル名のルールを決めます。日付、案件名、書類の種類などを一定の順序で付けると、一覧表示でも内容が分かりやすくなり、検索もしやすくなります。

デジタルデータの整理では、「分類」と「ネーミング」が重要な基本要素です。

2-2.ポイント・コツ

デジタルデータを整理するアイデアはいろいろありますが、ルールはできるだけシンプルにしましょう。細かく決めすぎると、ルールを守ること自体が新たな仕事になってしまいます。

たとえば、フォルダは深くしすぎず、迷わず保存できる階層にします。また、「その他」「とりあえず」「仮」といった名前のフォルダは便利そうに見えますが、長期滞在者が続出しがちです。

仮置きの場所をつくる場合は、定期的に見直す日を決めておきましょう。

検索機能を活用することも大切です。すべてを完璧に分類しようとせず、ファイル名やキーワードでも探せる状態をつくることで、無理のない管理ができます。

また、複数人で使用する場合は、ルールを文書にして共有しておくと安心です。誰か一人の記憶だけに頼る仕組みは、その人が不在になった途端に機能しなくなります。

2-3.注意点

デジタルデータの整理では、最初から完璧な仕組みをつくろうとしないことも大切です。実際に運用してみると、使いにくい分類や、分かりにくい名称が見えてきます。

一度決めたルールに固執するのではなく、使いながら改善していきましょう。

また、個人のパソコンだけに保存しない、アクセス権限を適切に設定する、バックアップを確保するなど、管理面の注意も必要です。

共有する相手、編集できる人、閲覧だけできる人を明確にし、必要以上に広い権限を付けないことも重要です。保存期間や削除のルールについても、あらかじめ決めておきましょう。

2-4.定期的に見直す

デジタルデータは、放っておけば増え続けます。不要になったデータ、重複ファイル、古い版などを定期的に見直しましょう。

ただし、削除する前には、法令上の保存義務や社内規定を確認する必要があります。

何でも残すのではなく、何を残し、いつまで保管するのかを決めることが大切です。整理とは、ただ捨てることではなく、必要なものを適切に残すことでもあります。

3.電子書類整理に関するよくある失敗

よくある失敗の一つは、「電子化しただけで整理が終わった」と思ってしまうことです。

しかし、電子化した後に一つずつ分類しようとすると、途端に作業が面倒になります。スキャンした直後は「あとで整理しよう」と思っていても、その“あとで”がなかなかやってこないのは、紙でもデジタルでも同じです。

最近のスキャナーには、読み取り時に解像度や保存形式だけでなく、データの保存先まであらかじめ設定できるものがあります。そのため、ペーパーレス化を進める際は、スキャンすることだけを考えるのではなく、

「どのような解像度で読み取るか」

「どのファイル形式で保存するか」

「どのフォルダに保存するか」

までを、一つの流れとして考えておくことがポイントです。

スキャンしてから分類するのではなく、スキャンした時点で適切な場所に保存できる仕組みをつくっておけば、その後の整理の手間を大きく減らせます。

さらに、スキャンしたデータを、名前も変えずに保存すると、「scan001.pdf」「scan002.pdf」が大量発生します。これでは、見た目はペーパーレスでも、中身は宝探しです。

また、担当者ごとに保存方法が違うケースもあります。Aさんは顧客別、Bさんは年度別、Cさんはデスクトップ保存。これでは、共有しているようで、実際には共有できていません。

フォルダを細かく分けすぎるのも、よくある失敗です。分類先が多すぎると、保存するたびに迷い、結局「その他」に集まります。

保存場所を増やしすぎる、同じデータを複数箇所に置く、古いデータを残したままにすることも、混乱の原因になります。

大切なのは、立派な仕組みをつくることではありません。スキャンから保存までの流れをあらかじめ整え、誰もが迷わず使えて、無理なく続けられる仕組みをつくることです。

4.ペーパーレス後の書類整理は必須

共有フォルダの整理例をいくつかご紹介しましたが、
ペーパーレス化の目的は、単に紙をなくすことではありません。必要な情報を、必要な人が、必要なときに活用できる環境をつくることです。

そのためには、保存場所、分類、ファイル名、共有方法などのルールを整え、定期的に見直す必要があります。

デジタルデータを整理することで、探す時間が減り、情報共有がスムーズになり、業務の効率化にもつながります。

株式会社デジタル・ファイリング・ラボでは、身近なデジタル環境を快適に整えるための研究やサポートを行っています。また、デジタル整理の知識と実践方法を伝える「デジタル整理アドバイザー」の育成にも取り組んでいます。

紙を減らしたその先に、使いやすく、迷わず、安心して情報を扱える環境を。

ペーパーレス化を「やった」で終わらせず、「使える仕組み」に育てていきましょう。

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このコラムを書いた人:福永 恵
(株式会社デジタル・ファイリング・ラボ 代表)

デジタル整理®の力で、誰もが快適に働ける環境を。
デジタル整理アドバイザー認定講座草案者の一人。
整理収納アドバイザー、ScanSnapプレミアムアンバサダー。
ファイル名にも人生にも、“迷わないルール”を。