デジタル整理アドバイザーとは?2級と1級の違い・取得方法・仕事への活かし方を解説

更新日:2026/10/30

「パソコンに保存した資料が見つからない」「共有フォルダの使い方が人によって違う」。こうした悩みを改善するために、データ整理の考え方を体系的に学べる資格が、デジタル整理アドバイザーです。

2級では個人のデータ整理の基本を、1級ではチームやプロジェクトの情報共有・運用管理を学びます。学ぶ対象や受講条件が異なるため、それぞれの特徴を理解し、自分の目的に合わせて学びを進めることが大切です。

この記事では、デジタル整理アドバイザーの特徴、2級と1級の違い、受講・資格取得の流れ、暮らしや仕事での活用方法を、具体例とともに詳しく解説します。

目次

1.デジタル整理アドバイザーとは?

デジタル整理アドバイザーは、必要な情報を見つけやすく、活用しやすい状態に整えるための知識を学べる資格です。どのような考え方を身につけ、暮らしや仕事に活かせるのでしょうか。まずは、資格の基本的な特徴と、パソコン操作の知識や整理収納との関係について紹介します。

1-1.デジタルデータを「使える状態」に整えるための資格

デジタル整理アドバイザーは、デジタル整理®の理論に基づいて、デジタルデータに関する課題の解決や改善を考えるための資格です。ハウスキーピング協会が認定し、株式会社デジタル・ファイリング・ラボが講座を制作、運営しています。

学びの土台にあるのは、整理収納の考え方です。使う目的に合わせて情報を見極め、分類し、保存場所や管理方法を考えることで、必要なデータを取り出しやすい状態にすることを目指します。

例えば、デスクトップ上のファイルをすべて一つのフォルダに移動すれば、画面はすっきりします。しかし、そのフォルダの中から目的の資料を見つけられなければ、使いやすくなったとはいえません。

デジタル整理で大切なのは、見た目の整然さに加えて、「どこに保存するか判断できる」「何のデータか分かる」「必要なときに取り出せる」という状態をつくることです。整理した直後だけでなく、新しいデータが増えても続けられる方法を考えます。

1-2.パソコン操作の知識と、整理の考え方は役割が異なる

パソコンの操作に慣れていることと、データを使いやすく整理できることは、必ずしも同じではありません。資料の作成やメールの送受信が得意でも、保存先やファイル名には一定のルールがない場合があります。

職場では、パソコンに詳しい人の管理方法を、そのまま取り入れることもあるでしょう。しかし、その人にとって使いやすい方法が、他の人やチーム全体にも適しているとは限りません。操作の知識に加えて、誰が、どのような場面で情報を使うのかを考える視点が必要です。

例えば、フォルダを作る操作を知っていても、「顧客別に分けるのか、年度別に分けるのか」「終わった仕事の資料はどこへ移すのか」といった判断には、別の視点が必要です。

デジタル整理アドバイザーの学びは、こうした判断の土台になります。操作方法だけを覚えるのではなく、自分や一緒に働く人が、どのような場面で情報を使うかを考えて整理する点が特徴です。

なお、パソコンの修理やシステム開発などを目的とした資格ではありません。機器やソフトの操作に関する課題と、データの持ち方・使い方に関する課題を分けて考えると、学ぶ目的が明確になります。

1-3.整理収納の知識をデジタルデータへ広げられる

モノの整理では、使う場所の近くに収納したり、一緒に使う道具をまとめたりします。デジタルデータでも、仕事の流れに合わせて資料をまとめ、保存先を決めることで、使いやすさを高められます。

一方、データには、簡単に複製できる、複数の場所に保存できる、離れた人と共有できるといった特徴があります。そのため、モノの整理の考え方を土台にしながら、デジタルならではの管理方法を学ぶことが大切です。

整理収納アドバイザーとして活動する方にとっては、モノや紙の書類に加え、パソコンやクラウド上の情報まで視野を広げるきっかけになります。もちろん、整理収納の資格を持っていない方も、2級から学ぶことができます。

2.デジタル整理を学ぶことで、どのような課題に向き合える?

デジタルデータに関する悩みは、ファイルが見つからないことだけではありません。どれが最新版か判断できない、担当者に聞かないと保存場所が分からないなど、日々の仕事や情報共有にも関わります。デジタル整理を学ぶことで、こうした困りごとの原因を捉え、改善するための考え方を身につけられます。ここでは、代表的な3つの課題を見ていきましょう。

2-1.必要なファイルを探す時間を減らしたい

ファイルを探す際、フォルダを順番に開いたり、思いつく言葉で何度も検索したりしていませんか。見つからずに、似た資料を一から作り直してしまうこともあるかもしれません。

原因は、データの量だけとは限りません。保存先が分散している、ファイル名から内容が分からない、分類の基準が途中で変わっているなど、管理方法に課題がある場合もあります。

保存場所と名前の付け方に一貫性を持たせると、探す範囲や検索に使う言葉を判断しやすくなります。「探せばある」から「必要な場所にたどり着ける」へと変えていくことが、整理を学ぶ目的の一つです。

2-2.最新版や正式な資料を見分けられるようにしたい

「提案書」「提案書_修正」「提案書_最終」「提案書_最終2」のように似たファイルが並ぶと、どれを使うべきか迷ってしまいます。更新した本人には分かっていても、時間がたったり担当者が変わったりすると判断が難しくなります。

このような場合は、名前だけで区別する方法に加えて、作成中の資料と確定した資料の置き場所を分ける、更新担当者を決めるなど、管理の仕組みを見直すことが考えられます。

どの方法が適しているかは、使用するツールや仕事の進め方によって異なります。大切なのは、ファイルを増やし続ける前に、「どれを正式な情報として扱うか」というルールを決めることです。

2-3.特定の人に聞かないと分からない状態を改善したい

職場で「この資料はどこですか」と尋ねる相手が、いつも同じ人になっていないでしょうか。その人が不在だと業務が止まる場合、情報の保存場所や管理方法が十分に共有されていない可能性があります。

共有フォルダがあっても、担当者ごとに分類や名前の付け方が異なると、他の人は迷ってしまいます。必要なのは、保存場所を共有することに加えて、その場所を使うためのルールを共有することです。

デジタル整理を通じて、誰が何を管理するのか、どこを見ればよいのかを明確にすれば、引き継ぎや日々の確認を進めやすくなります。

3.デジタル整理アドバイザー2級と1級の違い

2級と1級の大きな違いは、整理する対象と、管理の仕組みを考える範囲です。2級は個人のデータ整理の基本、1級は複数人で使う情報の共有・運用へと学びを広げます。

比較項目2級1級
学びの中心個人のデジタルデータ整理チームやプロジェクトの情報共有・運用管理
目指す状態自分が保存・検索・活用しやすい複数人が共通のルールで使いやすい
主な視点データの整理方法、保存・管理の基本情報共有のルール、運用、合意形成
受講条件どなたでも受講可能デジタル整理アドバイザー2級取得者
受講形式オンラインオンライン
受講料(税込)29,100円(テキスト代・認定料を含む)38,500円(テキスト代・認定料を含む)
受講時間の目安4時間8時間(休憩約1時間を含む)
活用の方向自分の暮らしや仕事のデータ管理自社の情報共有改善、個人・個人事業主への有償支援

※講座内容・受講条件は変更される場合があります。最新情報は各講座の公式ページをご確認ください。

3-1.2級は「自分が迷わず使える」ための土台づくり

2級で考える中心は、自分が扱うデータです。家庭の情報でも仕事の資料でも、まずは自分が何を持ち、どのように使っているのかを把握することから始めます。

例えば、個人事業主が自分で管理する仕事用ファイルも、個人のデータ整理の対象になります。「仕事で使うから最初から1級」という意味ではありません。自分の保存・管理の習慣を見直す際には、2級の基本が役立ちます。

3-2.1級は「複数人が迷わず使える」仕組みづくり

共有データの管理では、自分にとっての分かりやすさだけでは判断できません。営業担当者と事務担当者では、同じ資料でも探すきっかけや使う場面が異なることがあるからです。

1級では、こうした立場の違いを踏まえ、チームで管理方法を考える視点を学びます。共有フォルダの形を整えることに加え、関係者の意見を整理し、ルールを共有し、使い続けられる状態へつなげることが大切になります。

4.デジタル整理アドバイザー2級で学ぶこと

デジタル整理アドバイザー2級では、個人のデジタルデータを整理するための基本を体系的に学びます。データが増える理由を理解し、自分に合った分類や保存方法、ファイル名の付け方、バックアップの考え方へと学びを広げていきます。ここでは、日々のデータ管理にどう役立つのか、具体例を交えながら紹介します。

4-1.データが増える理由と、整理する目的を理解する

2級では、デジタル整理の基本的な考え方や効果、データが増える現象、整理の進め方などを学びます。

データは、受け取る、ダウンロードする、コピーする、書き出すといった日々の操作でも増えていきます。「念のため」「いつか使うかもしれない」と保存することが習慣になっている場合もあるでしょう。

整理の目的が曖昧なままでは、残すかどうかの判断も難しくなります。「打ち合わせの前に資料をすぐ開きたい」「毎月使う書類の保存先を決めたい」など、困っている場面を具体化することが、見直しの出発点になります。

4-2.自分に合う分類や保存方法を考える

フォルダの分け方に、すべての人に共通する唯一の正解があるわけではありません。同じ書類でも、顧客から探すことが多い人と、月ごとの業務で確認する人では、使いやすいまとめ方が異なります。

例えば、講師の仕事をしている方なら、「開催する講座ごと」に資料をまとめる方法も、「教材」「申込関係」「運営資料」のように役割で分ける方法も考えられます。どの場面で何を取り出すかを考えて選ぶことが大切です。

細かく分ければよいとも限りません。分類が増えすぎると、保存するときの迷いが増えます。使う頻度やデータの量に応じて、無理なく管理できる単位を考えましょう。

4-3.ファイル名を手がかりに管理しやすくする

ファイル名は、ファイルを開かずに内容を判断したり、検索したりするための大切な手がかりです。「資料1」「新しい文書」のような名前では、何のデータか分からず、探すたびに中身を確認する手間がかかります。

そこで、日付・案件名・書類の種類など、後から見分けるために必要な情報を、決まった順番で入れましょう。例えば、講座の配布資料なら「20261003_整理講座_配布資料」のように付けると、いつの、何の講座の、どの資料なのかを判断しやすくなります。

名前に入れる項目や順番を決めておけば、保存するたびに迷わず、同じルールで管理を続けやすくなります。必要な情報は仕事内容や使い方によって異なるため、自分が普段どのような言葉で探しているかを振り返って考えるとよいでしょう。

また、フォルダ名から分かる情報は、ファイル名では省略できる場合もあります。ただし、メールに添付したり、別の場所へ移したりすると、元のフォルダ名は分からなくなります。こうした使い方をする資料には、ファイル単体でも内容が分かる名前を付けることが大切です。

ファイル名は、長く詳しくすればよいわけではありません。保存するときだけでなく、後から探す場面や、他の人に渡す場面も考えて、必要な情報を選びましょう。

▶正しいファイル名のつけ方って?基本的なルールやコツを紹介

4-4.データを守り、使い続ける視点を持つ

2級のカリキュラムには、バックアップの考え方も含まれています。取り出しやすく整えたデータを、必要なときに使い続けられるようにする視点も欠かせません。

また、紙をデータにする場合も、読み取って保存するだけでは整理は完了しません。何のために電子化するのか、どこで管理するのか、どのように取り出すのかまで考えることが大切です。

講座で学ぶ考え方を使い、自分のデータの持ち方を一つずつ見直すことで、単発の片づけから日々の管理へつなげていきます。

5.デジタル整理アドバイザー1級で学ぶこと

デジタル整理アドバイザー1級では、2級で学んだ基本を土台に、チームやプロジェクトで使うデータの共有・管理について学びます。複数人が関わる環境では、立場や使い方の違いを踏まえ、共通のルールをつくり、継続して運用する視点が必要です。ここでは、共有する相手や目的の整理から、ルールづくり、管理体制、関係者との合意形成まで、主な学びを紹介します。

5-1.共有する相手と目的を明確にする

1級では、情報共有や運用管理、ルールづくり、ファシリテート、チームでの実践を学びます。ファシリテートとは、ここでは関係者の意見を引き出し、話し合いや取り組みが進むよう支えることを指します。

共有フォルダを整えるときは、誰がどの仕事で使うのかを確認する必要があります。同じチームでも、作成する人、確認する人、承認する人では、必要な情報やタイミングが違うためです。

例えば、提案書を作る担当者には作業中の資料が必要でも、提出担当者には確定した資料が必要です。利用者の役割を整理すると、共有する範囲や置き場所の考え方も明確になります。

5-2.チームで使える共通ルールを考える

個人の管理では、本人が覚えていれば使える方法もあります。しかし、複数人が関わる場合には、初めて見る人にも伝わる説明が必要です。

例えば、次のような点を話し合うと、ルールを具体化しやすくなります。

  • 新しい案件のフォルダは、誰がどこに作るか
  • ファイル名に共通して入れる情報は何か
  • 作成中と確定後の資料を、どのように区別するか
  • 完了した案件の資料を、いつ・どこへ移すか
  • 判断に迷ったときは、誰に確認するか

すべてを細かく決めると、覚える負担が大きくなります。日常的に迷う点から優先順位を付け、実際に守れるルールへ落とし込むことが大切です。

5-3.管理者の役割と、維持する方法を考える

共有フォルダを一度整えても、担当者が変わったり、新しい業務が増えたりすると、当初の分類が合わなくなることがあります。

そのため、誰が管理方針を見直すのか、変更をどのように周知するのかといった運用も必要になります。利用者の疑問を受け止める窓口があると、各自が別々の方法で対応することを防ぎやすくなります。

例えば、新しい業務が増えた際に、似た名前のフォルダをそれぞれが作るのではなく、管理担当者に相談して配置を決める方法があります。整理を継続するには、保存先だけでなく、変更の進め方も共有しておくことが重要です。

5-4.一方的に決めず、使う人と合意する

整理が得意な人が作ったルールでも、使う人が目的を理解していなければ、定着しにくくなります。「前の方法のほうが早い」「今までの保存先が使えなくなると困る」と感じる人もいるでしょう。

そこで必要になるのが、困りごとを聞き、共通する課題を整理し、実際の使い方に合わせて調整する姿勢です。

例えば、一部の案件で試してから広げる、具体的な保存例を示す、一定期間使った後に意見を集めるといった進め方が考えられます。整理する人の都合だけで進めず、利用者と一緒に使いやすい仕組みを育てる視点が、共有データの管理には欠かせません。

▶ 共有フォルダ整理の重要性や基本ルール・進め方を解説

6.受講料・取得方法・オンライン受講の準備

受講を検討する際は、学べる内容に加えて、費用や資格認定までの流れ、受講に必要な環境も確認しておきたいところです。事前に準備することが分かれば、当日も落ち着いて学習に取り組めます。ここでは、2級・1級の受講料や認定条件、オンライン受講に向けた準備について紹介します。

6-1.受講料と講座の基本情報

公式案内に掲載されている通常の受講料は、2級が29,100円(税込)、1級が38,500円(税込)です。いずれもテキスト代・認定料を含みます。

2級の受講時間は4時間、1級は休憩約1時間を含めて8時間が目安です。具体的な開始・終了時刻は、申し込む講座の案内をご確認ください。受講料や開催条件は変更される場合があるため、お申し込みの際は最新の案内をご確認ください。

学ぶ範囲や受講条件を確認し、自分の目的と照らし合わせて受講を検討しましょう。

6-2.申し込みから資格認定までの流れ

基本的には、希望する講座を選び、申し込み・支払いを済ませ、事前に届く案内に沿って準備を進めます。当日はオンラインで受講し、まとめテストなど、所定の認定条件を満たすことで資格が認定されます。

公式FAQでは、2級・1級の認定条件として、講座時間の4分の3以上の顔出し出席、まとめテストで30点満点に達すること、事後アンケートの提出が案内されています。まとめテストは理解を確認するもので、満点まで何度でも受け直すことができます。

受講中は、分からない点をそのままにせず、講師に確認しながら理解を深めましょう。資格取得を目標にするだけでなく、自分の課題にどう取り入れるかを考えながら学ぶと、受講後の行動につなげやすくなります。

6-3.オンライン受講に必要な環境

認定講座は、基本的にZoomを使用し、パソコンで受講します。スマートフォンやタブレットのみでの受講は原則として受け付けていないため、パソコンを用意しましょう。

あわせて、安定したインターネット環境、カメラ、マイク、スピーカーまたはイヤホンが必要です。事前に教材を開けるか、音声が聞こえるかなどを確認しておくと、当日の学習に集中しやすくなります。

1級では教材にGoogleドライブを使用するため、Googleアカウントの準備も案内されています。利用できるアカウントがあるかを確認し、講師から届く事前案内に沿って準備してください。

6-4.パソコンが得意でなくても、目的を持って学べる

2級は受講資格が設けられておらず、自己流でデータを管理してきた方も学べます。ただし、オンライン講座への参加や教材の閲覧など、受講に必要な操作の準備はしておきましょう。

不安がある場合は、「Zoomを使ったことがない」「教材を開く操作が心配」など、具体的に事前相談することをおすすめします。

また、受講前に困りごとを三つほど書き出しておくと、講義を自分の状況に結び付けやすくなります。「仕事の資料を探すことが多い」「保存先が毎回違う」といった身近な課題で十分です。

▶ ご受講にあたってのよくある質問を見る

7.暮らしや仕事での活かし方を具体例で紹介

ここからは、学んだ考え方を活かす場面の例を紹介します。以下は活用をイメージするための例であり、特定の受講者の実績や、講座で扱う演習内容そのものではありません。

7-1.家庭の情報を、自分や家族が確認しやすくする

家庭では、学校や習い事の案内、家電の取扱説明書、旅行の予約情報など、さまざまな情報を扱います。メールの添付、写真、ダウンロードしたPDFなど、受け取り方も異なります。

例えば旅行の情報なら、交通機関、宿泊先、現地で使う資料を、旅行の単位でまとめると確認しやすくなります。普段使う情報と、終わった旅行の記録を分けることも考えられます。

家族と共有する場合は、自分だけが分かる名前を避け、どこを見ればよいかを伝えることも大切です。まず個人の管理を整え、そのうえで共有する視点を加えると、暮らしの情報を使いやすくできます。

7-2.個人事業主の案件や顧客ごとの資料を管理する

個人事業主は、仕事の提供に加え、問い合わせ対応、見積もり、請求、広報など、多くの業務を自分で担うことがあります。作業の途中で資料を探し始めると、考えていたことが中断されがちです。

例えば、案件ごとに関連する資料をまとめ、進行中の仕事と完了した仕事を区別すれば、今必要な情報へたどり着きやすくなります。繰り返し使うひな形と、個別の案件で作成した資料を分けることも有効です。

自分一人で始めた仕事でも、将来誰かに依頼することを想定し、分かりやすい名前や構成にしておくと、説明の負担を減らしやすくなります。

7-3.会社員が日々の業務や引き継ぎに活かす

会社員であれば、自分が管理を任されている業務資料を見直すところから取り組めます。毎月の報告書や会議資料など、繰り返し扱うデータは、保存の流れを整える効果を確認しやすい対象です。

ただし、共有フォルダを自己判断で大きく変更すると、他の人が使っている場所や業務の流れに影響する場合があります。自分だけで変更できる範囲と、管理者やチームの合意が必要な範囲を分けて進めましょう。

引き継ぎを意識するなら、フォルダの配置に加え、「どの資料を、いつ使うか」という短い説明も役立ちます。名前と場所だけで伝わりにくい点を補うことで、次の担当者が仕事を始めやすくなります。

7-4.小規模なチームや団体の情報共有を整える

自分が所属する小規模な会社や団体でも、デジタル整理の知識を情報共有の改善に活かせます。

共有データの課題は、大企業に限りません。数人の会社、委員会、地域の活動などでも、資料の置き場所が分からない、担当者交代のたびに説明が必要といった問題は起こります。

少人数の組織では、口頭での説明や個人の記憶に頼って運営している場合があります。そこで、活動別の資料の置き場所と、管理する人を明確にしておくだけでも、確認しやすさが変わります。

最初から細かな規則を整える必要はありません。会議資料や年間の予定など、よく使う情報から共通の扱い方を決め、徐々に対象を広げる方法が考えられます。

8.整理収納アドバイザーがデジタル整理を学ぶ意味

整理収納の現場では、モノや紙の書類だけでなく、パソコンやスマートフォンに保存された情報が、暮らしや仕事の使いやすさに関わることもあります。デジタル整理を学ぶことで、これまで培ってきた整理収納の知識を活かしながら、情報の管理まで視野を広げられます。ここでは、紙とデータをつなげて考える意義と、私自身の現場経験から感じる整理の共通点をお伝えします。

8-1.モノ・紙・データをつなげて考えられる

暮らしや仕事の情報は、紙とデジタルの両方にまたがっています。同じ案内を紙でもメールでも受け取ったり、書類をスキャンしてデータとして保管したりすることもあるでしょう。

紙の置き場所だけを整えても、データの保存先が分からなければ、情報を探す悩みは残ります。反対に、データだけを整えても、どの紙と対応しているかが分からなければ、確認に手間がかかります。

デジタル整理を学ぶことで、情報を受け取ってから使い、保管するまでの流れを、媒体をまたいで考えやすくなります。すべてを電子化するのではなく、目的に合う管理方法を考える視点が大切です。

8-2.現場経験から感じる、整理の共通点

私はこれまで、企業のファイリング・システム構築や、家庭からオフィスまでの整理収納・業務改善に携わってきました。その経験から、モノとデジタルデータの整理には、共通する部分が多いと感じています。

例えば、データの入れ物であるフォルダの名前が分かりにくいと、保存するときも、探すときも迷いが生まれます。一方で、丁寧に分類しようとして細かく分けすぎると、かえって使いにくくなってしまいます。

実際に、一つの案件に関する見積書・請求書・写真データなどが、それぞれ別のフォルダに保存され、フォルダ名やファイル名からも内容を判断しにくいケースがありました。作業のたびに複数のフォルダを開く必要があり、必要なデータを確認するまでに何度もクリックしなければならない状態でした。

そこで、案件ごとに関連資料をまとめる構成にするとともに、フォルダ名やファイル名も、内容が分かるように見直しました。その結果、複数の保存先を行き来する手間が減り、その案件に必要な情報を確認しやすくなりました。

整理収納には、一緒に使うモノを一つのグループにまとめる「グルーピング」という考え方があります。このケースのように、関連するデータを目的や業務ごとにまとめることにも、この視点を応用できます。

フォルダの数や見た目だけに注目するのではなく、その中の情報を誰が、どのような場面で使うのかを考える。モノの整理で大切にしている視点は、デジタルデータを整える際にも役立ちます。

9.資格を仕事に活かしたい方へ

デジタル整理アドバイザーの資格を仕事に活かす方法は、自分や勤務先の業務を改善することから、お客様への支援、認定講師としての活動までさまざまです。目指す活動によって、必要な資格や準備も異なります。ここでは、資格取得後の活用を考えるうえで確認したい活動範囲と、実践経験の積み重ね方、認定講師を目指す道筋について紹介します。

9-1.自分の業務改善と、外部へのサービス提供を分けて考える

デジタル整理アドバイザーの資格を仕事に活かす方法には、自分や勤務先の業務を改善することと、お客様にサービスを提供することがあります。目指す活動に合わせて、資格ごとの活動範囲を理解しておきましょう。

自分の仕事に活かす場合は、日々使う資料の保存先やファイル名を見直すなど、身近なデータ管理から取り組めます。また、企業にお勤めの方は、1級で学ぶ情報共有や運用管理の知識を、自社の共有フォルダの整理、チームの共通ルールづくり、担当者交代時の引き継ぎなどに活かせます。

一方、1級を取得すると、個人・個人事業主を対象に、デジタルデータの整理に関するアドバイスや支援を有償で提供できます。例えば、個人のお客様が管理するパソコン内のデータ整理や、個人事業主が扱う仕事用ファイルの分類・保存ルールづくりなどが考えられます。

ただし、1級資格で認められる活動範囲には、外部企業から依頼を受けて行う有償のデジタル整理支援は含まれません。自社の業務改善に知識を活かすことと、外部企業に有償サービスを提供することは、区別して考える必要があります。

サービスを始める際は、支援する相手と提供する内容を明確にし、活動ガイドラインを確認しましょう。対応してよいか迷う場合は、事前に運営事務局へ相談することが大切です。

9-2.資格取得後は、小さな実践を積み重ねる

資格取得は、学んだことを使い始めるきっかけです。仕事に活かすには、課題を聞き取り、整理の方針を説明し、相手が運用できるよう支える経験も必要になります。

まずは自分のデータで、「以前は何に困っていたか」「何を変えたか」「使ってみてどうだったか」を記録すると、改善の過程を説明しやすくなります。

資格だけで仕事の依頼や収入が保証されるわけではありません。しかし、具体的な課題と改善方法を自分の言葉で伝えられるようになれば、これまでの職歴や専門性と合わせて、強みを説明する材料になります。

9-3.1級取得後は、2級認定講師を目指す道もある

デジタル整理アドバイザー1級を取得した後、学んだ知識を人に伝える活動へ広げたい方には、「デジタル整理アドバイザー2級認定講師」を目指す道があります。2級認定講師は、デジタル整理の基本を伝え、受講者の学びを支える役割を担います。

認定講師になるには、1級取得後に予備講座を受講し、所定の試験などを経て、講師資格を取得する必要があります。1級を取得するだけで認定講座を開催できるわけではなく、講師として教えるための学習や準備が必要です。

これまでの仕事や整理収納の経験を活かし、デジタル整理を学びたい方を支えたいと考えている方は、次のステップとして認定講師資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。取得までの流れや費用、活動条件は、公式ページでご確認ください。

▶ デジタル整理アドバイザー2級認定講師について詳しく見る

10.デジタル整理アドバイザーに関するよくある質問

デジタル整理アドバイザーに関心があっても、資格の位置づけや受講条件、取得後の更新など、気になる点があるのではないでしょうか。ここでは、受講を検討している方が疑問に感じやすい点を、Q&A形式でまとめました。ご自身の目的に合う資格かどうかを確認する際の参考にしてください。

Q.国家資格ですか?

ハウスキーピング協会が認定する民間資格です。デジタルデータの整理を体系的に学び、暮らしや仕事で活用することを目的として受講を検討するとよいでしょう。

Q.整理収納アドバイザーの資格がなくても受講できますか?

はい。デジタル整理アドバイザー2級は、整理収納アドバイザー資格の有無を問わず受講できます。1級の受講には、デジタル整理アドバイザー2級の取得が必要です。

Q.2級だけでも役立ちますか?

自分のパソコンや日常のデータ管理を改善したい方には、2級の基本を実践することが役立ちます。資格の段階を進めることだけを目標にせず、まずは学んだ内容を使ってみましょう。そのうえで、複数人の共有データや運用の課題に取り組みたい場合は、1級へのステップアップを検討できます。

Q.受講すれば、自分のデータをすべて整理してもらえますか?

認定講座は、整理の理論や考え方を学ぶ場です。自分のパソコン内にあるすべてのファイルを、講師が代わりに整理するサービスではありません。学んだ内容を自分の環境に取り入れ、少しずつ実践する時間も確保しておきましょう。

Q.資格の更新は必要ですか?

公式案内では、2級・1級の資格に有効期限はなく、更新は不要とされています。ただし、認定講師のライセンスには別の制度があります。一般の資格取得と、講師として活動する条件は区別して確認してください。

11.自分のデータ整理から、チームの情報共有へ

デジタル整理アドバイザーは、必要な情報を使いやすく管理するために、データ整理の考え方を体系的に学べる資格です。

2級では、個人のデータ整理の基本を身につけます。1級では、その土台をもとに、チームやプロジェクトの情報共有、管理ルール、運用の進め方へと学びを広げます。

自分のパソコンで探し物が多い方、職場の共有フォルダに課題を感じている方、整理収納の知識をデジタルにも広げたい方は、まず「どの場面を使いやすくしたいか」を考えてみてください。

受講後は、よく使う一つのフォルダから取り組んでみましょう。保存先や名前を整え、しばらく使い、迷う点があれば見直す。その積み重ねが、自分に合った管理の習慣につながります。

デジタル整理の目的は、必要な情報を見つけ、安心して活用できる状態をつくり、維持することです。暮らしや仕事の情報を整える一歩として、デジタル整理アドバイザー認定講座で学んでみませんか。

デジタル・ファイリング・ラボが提供している「デジタル整理アドバイザー®講座」の詳細はこちら

このコラムを書いた人:有賀 照枝
(株式会社デジタル・ファイリング・ラボ 取締役/デジタル整理アドバイザー®認定講師)

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