家庭の情報共有のコツ|家事分担・探し物を減らすデジタル整理

執筆:デジタル整理アドバイザー2級認定講師 笹田 奈美子

「あのハガキってどこに置いた?」
「今入っている保険の内容はどうだったっけ?」

家庭の中には、日々の暮らしに必要な情報がたくさんあります。以前は紙で管理することが多かった情報も、今ではスマートフォンのアプリやメール、クラウド上のデジタルデータとして保管されることが増えました。

便利になった一方で、「どこに保存したか分からない」「家族に聞かないと確認できない」「必要な時にすぐ見つからない」といった悩みを抱えるご家庭も少なくありません。

私は整理収納アドバイザーとして多くのご家庭をサポートしていますが、片付けのお悩みの背景には、モノだけでなく家庭の情報整理が関係しているケースをよく見かけます。特にデジタルデータは目に見えないため、管理方法や家族共有のルールが決まっていないと、必要な情報を探すだけで相当な時間がかかってしまいます。

だからこそ今必要なのが、「家庭の情報共有」と「デジタル整理」です。

今回は、家庭内で情報共有をスムーズに行うコツと、探し物や家事分担をラクにするデジタル整理の方法をご紹介します。

1. 家庭の情報共有が必要な理由|情報の属人化を防ぐため

家庭の中には、子どもの学校や習い事の予定、病院の診察履歴や薬の情報、保険や住宅関連の書類、家電の保証書、災害時の連絡先など、暮らしを支える情報が数多く存在しています。

ところが、それらの情報を家族の誰かしか知らない、という状況になっていないでしょうか。

例えば、学校や習い事の予定は一人だけが管理していたり、保険や契約関係の書類の保管場所を自分しか知らなかったりするような場合です。このように、特定の人しか情報を把握していない状態を、企業では「情報の属人化」と呼びます。

普段は問題なくても、その人が不在だったり急な対応が必要になったりした時に、家族は必要な情報を探すところから始めなければなりません。

私自身が家庭の情報共有を意識し始めたのは、数年前に友人が入院したことがきっかけでした。

「もし私も突然入院したら、家庭は回るだろうか。家族は保険などの必要書類を見つけられるだろうか。」

そんな疑問が頭をよぎりました。

当時、私は保険証券をファイリングして整理していましたが、管理しているのは自分だけでした。保管場所を家族へ伝えることもありませんでした。

その状態では、せっかく整理していても必要な時に役立ててもらえません。家族を困らせてしまうかもしれない――そう感じたことが、家庭の情報共有を始めたきっかけです。

整理することと、共有することは別です。

どれだけきれいに整理されていても、自分しか分からない状態では、本当に必要な時に役立てることはできません。

だからこそ、家庭の情報共有では「誰でも必要な時に見つけられる仕組み」を作ることが大切です。そのために役立つのが、デジタル整理なのです。

2. デジタル整理で家事分担・探し物が減る情報共有のコツ

家庭の情報共有や家庭の情報整理というと難しく感じるかもしれませんが、特別な知識は必要ありません。

今は手軽に使えるアプリやクラウドサービスもあります。それらを活用しながら、家族全員が無理なく続けられる仕組みを作りましょう。

2-1. 共有する情報を決める

最初からすべての情報を共有しようとすると大変です。

まずは家族で共有したい情報を決めることから始めましょう。
例えば、

  • 家族のスケジュール
  • 学校や習い事の情報
  • 病院関係の情報
  • 保険や契約書類
  • 防災関連情報

などです。

加えて、買い物リストやゴミ出しの日、家事の担当なども共有できると、家族の誰か一人に負担が集中することがなくなります。
情報共有は、情報を探しやすくするだけでなく、「聞かなくても動ける状態」をつくることにもつながります。

「これを家族と共有できたらラクになるかも!」と思うことがあれば、そこから始めてみましょう。

2-2. 家族全員が見られる場所を作る

次に大切なのが、情報を保管する場所を決めることです。
紙の書類であれば収納場所を決めるように、デジタルデータも保存場所や管理ツールを決めておきましょう。

例えば、

  • 共有フォルダ
  • 共有カレンダー
  • 家族共有アプリ

などを活用すると、スマートフォンからいつでも確認できます。

ご高齢のご家族がいる場合は、多機能なアプリよりも、普段から使い慣れているシンプルなアプリの方が続けやすいでしょう。

2-3. ルールをシンプルにする

情報共有を長続きさせるためには、ルールを複雑にしないことも重要です。
モノの収納でも、細かすぎるルールは続きません。

例えばフォルダ名は、

  • 学校
  • 医療
  • お金
  • 保険
  • 防災

など、大まかな分類で十分です。

誰が見ても分かるシンプルなルールにすることが、家庭の情報整理を成功させるポイントです。

3.家庭で共有したい情報整理の具体例

3-1.学校・教育関連

子どもに関する情報は、家庭内で共有しておきたい情報の代表例です。

近年は学校からのお知らせもアプリ配信が増えていますが、完全にデジタル化されたわけではありません。保護者連絡アプリ、メール、紙のプリント、習い事や塾のLINE・専用アプリなど、情報が複数の場所に分散しているご家庭も多いのではないでしょうか。

情報が散らばったままだと、必要な時に探す手間が増えたり、家族間で認識のずれが起きたりします。

そこでおすすめなのが、予定はカレンダーアプリ、文書も同じアプリに画像で貼り付ける、というように、確認する場所をできるだけ1箇所に集約する方法です。

 すべてをデジタル化する必要はありませんが、「どこを見れば分かるか」を決めておくだけで、探し物がなくなり、家族間の情報共有がうんとスムーズになります。 

また、子どもの成長とともに管理する情報は変化していきます。小さい頃は保育園や習い事の情報を、おじいちゃん・おばあちゃんと共有。子どもが進学し、自分自身でスマートフォンを持つ世代になれば、受験や進路に関する情報を出先から家族に共有する…といったことも出てくるでしょう。情報を置く場所と内容を決めておくことで、みんなで子育てに参加でき手伝える環境につながります。 

3-2.家計・保険関連

家計や保険に関する情報は、万が一の時に特に重要になります。

例えば、

  • 保険証券
  • 住宅ローン関連書類
  • 銀行口座情報(ネットバンキング)
  • 年金関係書類

など。内容をすべて共有する必要はありませんが、少なくとも保管場所や確認方法は家族で共有しておくことをおすすめします。

3-3.防災・緊急連絡先

防災士として特にお伝えしたいのが、防災情報の共有です。
災害は突然起こります。その時に、

  • 緊急連絡先
  • 避難場所
  • 家族の集合場所
  • かかりつけ病院

などがすぐ確認できる状態になっていると安心です。モノの備蓄だけでなく、「情報の備え」も大切な防災対策の一つです。

4. おすすめのデジタル共有ツール

ここからは、家庭の情報共有に活用しやすいツールをいくつかご紹介します。必ずしもすべてを一つのツールにまとめる必要はなく、予定はカレンダー、書類は共有フォルダというように、用途に合わせて使い分けるのがおすすめです。

Googleカレンダー

家族の予定を共有できる定番ツールです。色分けもできるため、誰の予定なのか一目で分かります。学校行事や習い事、家族の予定をまとめて管理したいご家庭におすすめです。

Googleドライブ

書類やPDF、写真などを家族共有フォルダとして保存できます。

フォルダを用途ごとに分類しておくことで、必要なデジタルデータを検索しやすくなり、家族全員が必要な時にすぐ見つけられるようになります。 

TimeTree(タイムツリー)

家族で予定を共有するためのカレンダーアプリです。予定ごとにコメントを残せるため、「誰が送迎するか」「持ち物は何か」といった情報や画像も貼り付けて一緒に共有できます。共働き世帯や子育て世帯で活用している方も多く、家族のスケジュール管理に役立ちます。

LINE

すでに多くの方が利用しているため、最も手軽に始めやすい情報共有ツールの一つです。 家族グループを作り、学校のお知らせや病院の予約情報、必要な書類の写真などを共有しておくことができます。ただし、トークが流れると過去の情報を探しにくくなるため、長期的に保管したい情報はアルバムやメモ機能を使ったり、別の共有フォルダと併用するのがおすすめです。

大切なのは、最新のツールを使うことではなく、家族全員が無理なく使い続けられること。まずは今使っているツールを活用しながら、少しずつ家庭に合った情報共有の仕組みを作ってみましょう。

5. 家庭の情報共有を始めてみよう

情報共有というと、大掛かりな仕組みづくりが必要だと思われるかもしれません。

しかし実際は、家族の予定や買い物リストを共有するなど、小さなことから始めることができます。

大切なのは、情報を整理し、必要な人が必要な時に使える状態にしておくことです。

家族の誰か一人が情報を抱え込むのではなく、みんなで確認できるようになることで、探し物の時間や確認作業が減り 、家事分担もしやすくなります。「聞かないと分からない」「自分しかできない」が減ることで、自然と家族同士の協力体制も生まれます。

デジタル整理は、単にデータを片付けることではありません。

必要な情報を、必要な人が必要な時に活用できる環境をつくるための仕組みづくりです。 

まずは、ご家庭の中で「家族と共有できたら便利だな」と思う情報を一つ選び、共有するところから始めてみませんか。

今日から始める家庭の情報整理チェック

最後に、家庭の情報整理を始める際のチェックポイントをまとめました。 

  • 家族で共有したい情報を書き出す
  • 共有するツールを一つ決める
  • 保存場所を家族全員で確認する
  • フォルダ名やファイル名のルールを決める
  • 半年に一度、不要なデータを見直す

デジタル・ファイリング・ラボでは、デジタルデータや情報を分かりやすく整理し、必要な時に活用できる仕組みづくりについて学ぶことができます。

家庭でも仕事でも役立つデジタル整理の考え方を取り入れることで、探し物が減り、家族みんなが安心して情報を活用できる暮らしにつながります。ぜひ日々の暮らしに取り入れてみてください。 

デジタル・ファイリング・ラボが提供している「デジタル整理アドバイザー®講座」の詳細はこちら

このコラムを書いた人:笹田奈美子デジタル整理アドバイザー2級認定講師

大学卒業後、大手情報通信会社に入社し、業務パッケージソフトの開発・導入支援に携わる。その後、税理士事務所へ転職し、中小企業の会計・税務業務に従事。自宅を新築した際、納スペースを確保したにもかかわらず思うように片付かなかったことをきっかけに整理収納を学び、整理収納アドバイザーとして活動を開始。2014年より個人宅向けの整理収納サービスや講座を提供している。現在は、企業向けに職場環境改善のための5S活動支援を行うほか、デジタル整理や書類整理のサポートにも取り組んでいる。モノ・紙・デジタルまで一貫した「整理」を通して、仕事や暮らしがより快適になる仕組みづくりを支援している。 


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