自分しか分からないを卒業|仕事がラクになる情報整理術
執筆:デジタル整理アドバイザー2級認定講師 笹田 奈美子

仕事中、「探し物」に時間を取られた経験はありませんか。
情報整理やデジタル整理が十分にできていないことで、必要な資料が見つからない。保存場所が分からない。担当者しか知らず、確認のために仕事が止まってしまう。こうした小さなロスは、一つひとつは数分でも、積み重なると組織全体の大きな時間損失につながります。
近年はペーパーレス化が進み、仕事の情報はパソコンやクラウド上で管理することが当たり前になりました。しかし便利になった一方で、「必要な情報が見つからない」「特定の人しか分からない」という悩みは、むしろ増えているように感じます。
私自身、企業様の職場環境やデータ整理・デジタル整理のサポートを行う中で、業務効率が上がらない原因は、個人の能力ではなく「情報の整理方法」にある事例を数多く見てきました。デスクトップいっぱいにファイルが並んでいる様子を見ると、「これでは探すのに時間がかかるのも無理はないな」と感じることがあります。
仕事はチームで進めていくものです。自分だけが分かる管理ではなく、「誰が見ても分かる仕組み」をつくることが、チーム全体の生産性向上につながる土台となります。
では、なぜ「自分しか分からない状態」になってしまうのか、その原因から見ていきましょう。
1. 「自分しか分からない」が起きる原因

企業では、この状態を「属人化(ぞくじんか)」と呼びます。特定の人しか業務や情報を把握していない状態のことで、担当者が休んだり異動したりすると仕事が止まってしまうのは典型例です。
ここでは、デジタル情報を例に見ていきます。
1-1. 保存ルールがない
メール添付で受け取ったデータや自分で作成したファイルを、どこに保存するか決まっているでしょうか。デスクトップ、フォルダ、サーバー、USBメモリーなど、さまざまな場所に保存していると、必要な時にすぐ取り出すことができません。
まずは自分のパソコンの中で保存ルールを決め、そのうえでチームで共有する保存場所も統一しましょう。デジタル整理の第一歩は、「どこを見れば必要な情報が分かるか 」を明確にすることです。
1-2. ファイル名が統一されていない
「資料」「最終」「最新版」「○○_コピー(1)」では、後から内容を判断できません。
例えば、
20260901_営業会議_議事録
のように、日付と内容を含めたルールを決めるだけで検索性は大きく向上します。
1-3. 共有場所が複数ある
チャット、メール添付、クラウドストレージなど、同じ情報が複数の場所に存在すると、「どれが最新版か分からない」状態になります。
保存場所はできるだけ一つに集約し、情報共有しやすい環境を整えましょう。
2. デジタル整理で仕事がラクになる情報整理の基本
デジタル整理を進めるうえで大切なのは、やみくもにデータを整理することではありません。仕事の流れや情報共有をイメージしながら、誰でも使いやすいルールを決めることです。
ここでは、仕事がラクになる情報整理の基本をご紹介します。
2-1. 分類の目的を決める
フォルダを作る前に「分類の目的」を考えましょう。部署別、案件別、年度別など、実際の業務をイメージしながら決めます。
例えばオフィスなら、「全社共通」「経理・総務」「顧客案件」といった大分類から始めると分かりやすくなります。
2-2. フォルダ構成をシンプルにする
フォルダを細かく分けすぎると階層が深くなり、かえって探しにくくなります。まずは大分類だけを決め、必要に応じて増やしていく方が運用しやすくなります。
2-3. 検索しやすいファイル名を付ける
検索機能が充実している今こそ、検索される言葉を意識したファイル名が重要です。日付、案件名、取引先名を入れておくと、探す時間を大きく減らせます。
いざ整理を始めようとすると、「今のこのぐちゃぐちゃのデータ、どこから手を付けたらいいの?」と悩む方も多いはずです。
そんな時はいきなりデータを動かそうとせず、まずは紙に今の仕事を書き出し、「どんな分類が必要か」を整理するところから始めてください。頭の中が整理されると、フォルダ構成も考えやすくなります。
私自身もサポートの際は、いきなりフォルダを移動することはありません。まずは紙に業務内容やデータの種類を書き出し、机上で整理するところから始めます。その方が整理のねらいが見え、実際のデータ整理もスムーズに進みます。
3. 情報共有しやすい環境づくり

情報整理は、自分だけが使いやすければよいものではありません。一緒に働く人も迷わず情報を見つけられる環境をつくることで、仕事はよりスムーズに進みます。ここでは、情報共有しやすい仕組みづくりのポイントをご紹介します。
3-1. 誰でも見つけられる仕組み
情報整理のゴールは「きれいに並べること」ではなく、必要な人が必要な時に必要な情報を迷わず見つけられることです。
共有フォルダやクラウドストレージを活用し、チーム全員が同じルールで情報を管理する環境をつくりましょう。担当者しか分からない資料がなくなれば、急な欠勤や異動、退職の際も仕事が滞りにくくなります。
3-2. ルールをチームで共有する
ルールは一度作るだけでは定着しません。保存場所やファイル名の付け方をチーム全員で話し合い、新しく加わるメンバーにも分かるよう文書化しておきましょう。
さらに定期的に見直し、改善を続けることで、誰もが使いやすい情報管理の仕組みへと育っていきます。
4. 「人を想う整理」の視点
情報整理は、自分が使いやすくするためだけのものではありません。一緒に働く人が迷わず必要な情報を見つけられれば、チーム全体が働きやすくなります。
「このファイルはどこですか?」という確認は、聞く方も聞かれる方も実はストレスです。これがなくなるだけで、仕事の流れはスムーズになり、本来の業務に集中できる時間が増えていきます。
私自身も、クラウド上でプロジェクトメンバーと資料を共有する際は、最初にファイル管理のルールを決めるようにしています。おかげで仕事の分担や情報共有、引継ぎがスムーズになり、コミュニケーションも円滑になりました。
情報整理は、未来の自分はもちろん、一緒に働く仲間への「思いやり」ではないでしょうか。その積み重ねが、チーム全体の力を引き出し、仕事をもっとラクに、もっと気持ちよく進められる環境につながっていくと感じています。
5. 今日から始める仕事の情報整理術
情報整理は、一度にすべてを変える必要はありません。まずは次の3つから始めてみましょう。
- 保存場所を決める(探す時間を減らすため)
- ファイル名を統一する(検索しやすくするため)
- 共有フォルダを活用する(情報共有をスムーズにするため)
こうした小さな改善を積み重ねることで、「探す時間」は確実に減り、仕事は少しずつラクになっていきます。
ここまで読んで「やってみよう」と思われた方は、すでに情報整理の第一歩を踏み出しています。
デジタル・ファイリング・ラボでは、自分自身のデジタル整理を学びたい方には「デジタル整理アドバイザー®2級認定講座」、チームや組織での情報共有やデータ管理の仕組みづくりを学びたい方には「デジタル整理アドバイザー®1級認定講座」をご用意しています。
仕事がラクになる情報整理は、一人で完結するものではなく、組織全体で取り組むことでさらに大きな効果を発揮します。ぜひ、ご自身や職場に合った学びを通して、デジタル整理を実践してみてください。みんなが安心して情報を活用できる暮らしにつながります。ぜひ日々の暮らしに取り入れてみてください。

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このコラムを書いた人:笹田奈美子(デジタル整理アドバイザー2級認定講師)
大学卒業後、大手情報通信会社に入社し、業務パッケージソフトの開発・導入支援に携わる。その後、税理士事務所へ転職し、中小企業の会計・税務業務に従事。自宅を新築した際、納スペースを確保したにもかかわらず思うように片付かなかったことをきっかけに整理収納を学び、整理収納アドバイザーとして活動を開始。2014年より個人宅向けの整理収納サービスや講座を提供している。現在は、企業向けに職場環境改善のための5S活動支援を行うほか、デジタル整理や書類整理のサポートにも取り組んでいる。モノ・紙・デジタルまで一貫した「整理」を通して、仕事や暮らしがより快適になる仕組みづくりを支援している。
ホームページURL:cozyroom(コージールーム)

